メディア・記事

エリブリン(ハラヴェン)が悪性軟部腫瘍に対して保険適用に

エーザイ株式会社は、2016年2月29日、抗がん剤「ハラヴェン®」 (一般名 エリブリンメシル酸塩)について、日本において新たに「悪性軟部腫瘍」の効能・効果の承認を取得しました。「ハラヴェン」は、進行または再発の悪性軟部腫瘍(脂肪肉腫または平滑筋肉腫)を対象とした臨床第Ⅲ相試験において、全生存期間の有意な延長を示した唯一の薬剤です。

https://www.eisai.co.jp/news/news201610.html

小児がんや骨軟部の腫瘍に保険適用 粒子線治療、4月から

厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会は20日、がん粒子線治療のうち小児がんの陽子線治療と、手術が難しく骨や筋肉などにできる骨軟部腫瘍の重粒子線治療に公的医療保険を適用すると決めた。交通事故などで髄液が漏れて頭痛が起きる症状の治療法「ブラッドパッチ」も適用を認めた。いずれも4月から実施。
 粒子線治療は、水素の原子核である陽子などを加速させた粒子線を照射し、がん細胞をたたく方法。先進医療に指定され、関連して必要な検査代や入院費だけに保険が適用されていた。自費だと300万円前後かかり、保険適用で患者の負担は軽くなる。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000109281.pdf

トラベクテジン掲載記事の要約

アメリカ臨床腫瘍がん学会の雑誌に掲載された記事の要約を掲載します。

 従来の抗がん剤治療が不良だった転移性脂肪肉腫や平滑筋肉腫にトラベクテジンやダカルバジンを使用-その有効性と安全性:第III相無作為多施設臨床試験の結果(ジョージ・D・デミトリ氏他)

 摘要

 目的 この多施設研究は、トラベクテジンとダカルバジンを進行した脂肪肉腫と平滑筋肉腫の患者(事前にアントラサイクリン化合物と少なくとももう1種の全身治療を行っていることが条件)に使用した初の第III相試験です。

 患者と方法 患者は無作為に2対1の割合で選ばれ、トラベクテジンとダカルバジンを3週間に1回静脈注射されました。第一の終了点は全生存期間(OS)、第二の終了点は病勢コントロールである無増悪生存(PFS), 増悪までの期間、奏功率、効果持続期間に加え、安全性や患者から報告のあった病状のスコアも加味されています。 

結果 518人の患者が登録し、無作為にトラベクテジン(345人)とダカルバジン(173人)に割り当てられました。最終的なPFSの分析によると、トラベクテジンは病気の進行や死のリスクがダカルバジンより45%少ないという結果になりましたし(トラベクテジンとダカルバジンのPFSの中間値は4.2対1.5カ月;ハザード比0.55; P < .001)、すべての事前に計画されていたサブグループ分析でも有効性が観察されました。OSの中間分析では(64%統計分析済み)、死のリスクがトラベクテジンでは13%少なくなっています。(トラベクテジンとダカルバジンのOSの中間値は12.4対12.9カ月;ハザード比0.87; P = .37) 安全性では、どちらもそれぞれの特性毒性と一致した結果で、もっとも一般的なグレード3から4の薬物副作用は骨髄抑制とトラベクテジンの注射によるトランスアミナーゼの一過性上昇でした。 

結論  過去の抗がん剤治療での失敗を経験してきた進行した脂肪肉腫や平滑筋肉腫の患者には、トラベクテジンは従来のダカルバジンの比べて有効な病勢コントロール力があることを示しています。進行した肉腫にとって病勢をコントロールすることが医学的に重要な最終点であることから、この研究はトラベクテジンをこれらの悪性腫瘍に使用する治療を支持する結果となっています

Evofosfamide、軟部肉腫と膵臓がん適応の開発中止

独メルクは24日までに、開発中の低酸素活性化プロドラッグであるTH-302(一般名=evofosfamide)について、進行性の軟部腫瘍と膵臓がんを適応とした開発を中止すると発表した。
軟部肉腫と膵臓がんの化学療法に同剤を併用して有効性や安全性を検討した臨床第3相試験について同社は、「膵臓がんにおいて有効性の徴候が認められたが、両試験において主要評価項目を達成することができず、承認申請を裏付ける結果とはならなかった」と説明している。現在進行中の同剤に関する臨床試験に関しては今後の方針を早急に決定するとしている。

抗がん剤「ヨンデリス」承認

大鵬薬品工業は9月28日、抗がん剤「ヨンデリス点滴静注用0.25mg」「同1mg」(一般名=トラベクテジン)の製造販売承認を取得したと発表した。効能・効果は「悪性軟部腫瘍」。診療ガイドラインによると悪性軟部腫瘍の標準治療はドキソルビシンで、ヨンデリスは2次治療の位置付けになる。薬価収載後に発売する予定。
ヨンデリスはDNAに結合し、細胞分裂、遺伝子転写、DNA修復機構を妨げて効果を示す。もともとはカリブ海産のホヤから単離された天然物由来の物質で、現在では合成法が確立している。大鵬薬品はスペインのファーママー社からヨンデリスを導入し、国内での開発・販売権を取得していた。

http://www.taiho.co.jp/corporation/news/2015/20150928.html